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ちまちまラーメン食ってた桜木が、丁度食い終わった頃だろうか。
「都築さぁ……僕はお前の専属医じゃないんだけど」
「いーじゃん、宜しく研修医」
「ったく……」
私服姿でやってきたのは、朝倉修。
年上の俺の幼なじみで、今は研修医として実家の病院で働いている。
「で、誰を診るの?」
「こっち」
寝室のドアを開けると、桜木がびくりとしてまた牽制の態度を取った。
「……誘拐でもしたの?」
「してねーよ。ちょっと色々あって」
まいいや、と朝倉が桜木に近づいた。
ぎゅう、と桜木が布団を握るのがわかる。
「あー……大丈夫だから。足診るだけだっつの」
「っ……」
……縋るような目してこっち見やがる。
「足伸ばすだけでいいよ」
桜木は伺うように、足を布団の上に出した。
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