3
side.徹平
弟になるという若葉は、俺と8歳違う、高校2年生。
そのはずなのに、学校にも行かずに部屋に籠っていた。
「うう、まぶしい……」
しばらくじたばたしていたけれど諦めたのか、若葉は大人しく、そんなことを呟いていた。
透けるほど白い肌や、年齢の割に筋肉のついていない痩せた身体を見てみると、ほとんど外に出ていないのかもしれない。
目に悪いかもしれないなと思いながら、どうしてそこまで、と疑問にも思う。
「ど、どこ行くんですかぁ……」
「あ?散歩だ、散歩」
引っ越してきたばかりということもあって、近場に何があるのかわからない。
土地勘を作るために適当に歩いた。
さすがに長時間この重さを抱える自信はないので、唯一知っているバーに連れていく。
高校生が出入りするようなところではないが、俺がいるから大丈夫だろう。
からん、とベルの音を鳴らしてドアを開けた。
暗く落ちついた雰囲気のそこは、俺の後輩の翼が経営している。
「あ、徹平さん!お久しぶりです」
「よう」
「こっちに引っ越してきたって本当ですか?」
……店に入った瞬間、若葉は人形のように動かなくなった。
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