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side.徹平



「大体あいつ顔は良いから、よく騙されんだ」



高校の後輩だった翼の悪行(?)を思い出しながら、ぶつぶつと独り言のように喋ってしまう。
言い過ぎるとあそこに行くのが怖くなるかも、と口を噤んで振り返ると、若葉はきょとんとして俺を見つめていた。



「徹平さんのがかっこいいのに」



ぽつりと呟いたと思ったら、ぼっと音がしそうなくらい、一気に真っ赤になった。



「ああああ、えと、あの、違うくて、」
「……なーに言ってんだお前は」



真っ赤な顔の若葉は、なんだか新鮮だ。
ただでさえ遅い足取りが、少し遅くなっている。
俯いているのをいいことに、脇から抱えて肩に担いだ。

……懐かしいな、これ。



「あの、えと、」
「歩くの遅ぇーの、さっさと帰るぞ」



きゅ、と肩を掴まれる。
俺の同時期とは違う、小さな小さな弟。



「……ありがとな」



可愛い弟なんてのも、悪くないなと思ったり。



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