5
side.徹平
「大体あいつ顔は良いから、よく騙されんだ」
高校の後輩だった翼の悪行(?)を思い出しながら、ぶつぶつと独り言のように喋ってしまう。
言い過ぎるとあそこに行くのが怖くなるかも、と口を噤んで振り返ると、若葉はきょとんとして俺を見つめていた。
「徹平さんのがかっこいいのに」
ぽつりと呟いたと思ったら、ぼっと音がしそうなくらい、一気に真っ赤になった。
「ああああ、えと、あの、違うくて、」
「……なーに言ってんだお前は」
真っ赤な顔の若葉は、なんだか新鮮だ。
ただでさえ遅い足取りが、少し遅くなっている。
俯いているのをいいことに、脇から抱えて肩に担いだ。
……懐かしいな、これ。
「あの、えと、」
「歩くの遅ぇーの、さっさと帰るぞ」
きゅ、と肩を掴まれる。
俺の同時期とは違う、小さな小さな弟。
「……ありがとな」
可愛い弟なんてのも、悪くないなと思ったり。
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