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side.若葉



「わああっ!」



突然に肩に腕がぐるりと回されて、そのまま後ろに引かれた。
後頭部の翼さんの手はぱっと離れ、椅子ごと後ろに倒れそうになったとき、



「てめ、何手ぇ出してやがる」
「……早かったですねぇ、トイレ」



ぽす、と背中に当たったのは、徹平さんだった。
腕はまだ肩に回されたままで、後ろから……抱き締められるようになっている。

翼さんのお店に来られるようになったといっても、バーであるここには、必ず徹平さんと一緒に来ていた。



「ここの店員は酒飲んで営業してんのか?あ?」
「シラフですって、怖い怖い顔怖い徹平さん!」



僕の真後ろにいる徹平さんの顔は見えないけれど。
……翼さん、笑顔がひきつってる。



「冗談ですって」
「冗談であんなことすんのか手前はよ」
「あ、遊び心で」
「おっまえなぁ……っ」



何の話かわからない。
でも、頭上で行われる喧嘩(?)は少し怖くて、落ち着かない。



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