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side.若葉
「そりゃ、可愛いからだよ、弟ちゃん」
「……?」
翼さんの言っていることがわからなくて、思わず首を傾げた。
カウンターの向こう側にいる翼さんは、頬杖をつきながらじぃっと僕を見てくる。
「ずーっと見られてるんでしょ?んで、写真って。アイドルみたいな扱いじゃん」
「アイっ……」
アイドルって……!
僕は相変わらず、引き込もってばかりだった。
翼さんのお店は、家以外で唯一行くことが出来るところ。
薄暗くて顔が見えにくいところもその理由で、パーカーのフードを被りながらなら、毛布からも出ることができた。
「無自覚なんだー。弟ちゃんね、自分が思ってるより可愛いんだよ?」
「かわっ……え、っ」
可愛いってなんだ、僕はおとこだ!
翼さんは小さく溜め息を吐きながら、腕を伸ばして僕の頭を撫でた。
「俺ノンケだけどー。弟ちゃんならイケるー」
よくわからない言葉に聞き返そうとしたら、頭を撫でていた手が後頭部をぐっと押してきた。
目の前の翼さんの顔が近付いて、
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