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side.徹平



多分、若葉は気付いてない。
自分の容姿がどんなものか。



「お、重くない、ですか」
「重たい」
「う……」
「でも、降ろしていーのか」



言うと、きゅっと背中を掴まれた。
それほどまでに、こいつに恐怖が刻み込まれてるってことか。



「馬鹿、嘘だよ。人前に出んの嫌なんだろ」
「っ……」



こくりと頷く。

素直で、華奢で、魅力的な容姿があって。
それでも、それだからこそ、普通に生きていけなかった。

そんな若葉が少しだけ可哀想になって―――愛しくなった。



「あそこ、好きか」
「……?」
「さっきの店」
「……お、おいしかった、」



毛布の中のくぐもった声が、微かに柔らかくなった。



「また、行こう」
「………」
「一緒にな」
「……!」



若葉は何度も、こくこくと、頷いた。

健気な返事に、どうにかこいつを笑わせてあげたいなと、思った。



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