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それから、男が二人に増えた。

一人は知ってる。
一人は知らない。

知らない方の男が近付き、それから僕の腕に、ちくりと痛みが走った。
てんてき、と言うのだと男が話した。



二人がいなくなって、ふと、てんてきを見た。

ぽたりぽたりと落ちる液体。
長くのびる管。
そこに繋がれる僕。

いらない。



腕からそれを抜いた。
びっ、と痛みが走った。

てんてき、を遠ざけようと、背の高いそれを押し返す。
すると、うまく動かずに、大きな音をたてて倒れてしまった。

数秒して、ぱたぱたと足音が近づいてきた。



「瑠依!」



二人の、男。

知ってる男が僕の腕を見て、また苦しそうな顔をした。



「ごめんな、瑠依、いきなり抜けて痛かっただろ」
「……いや、蓮、多分この子自分で……」
「え……?」



僕は、目をつむる。
何もいらない。



また、新しいてんてきがつけられた。
違うのは、男が僕のとなりにいること。



「もう少し、頑張ろうな」



ぽた、ぽた。

それは、雨の音に似ていた。



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