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気配が動いて、僕は閉じていた目をあけた。



「……ごめんね、起こしちゃったね」



男が立ち上がったようだった。
まだ笑って、頭を撫でられる。



「俺は、蓮。三橋蓮」



僕は、天井を見つめる。



「よろしくね、瑠依」



久しく聞いた、自分の名前。
息が詰まりそうになった。



「あ、そうだ」



男の足音が遠退いた。
ドアの開閉音がして、また、足音が近付く。



「折角だし、身体、拭こうか」



また首の後ろに手をいれられて、身体を起こされる。
壁を背もたれに座らされて、ぎしりと男がベッドに乗った。



「ごめんね、脱がすね」



そう言って、ぷちぷちとボタンが外される。
僕はそれだけしか着ていなかったから、シャツが脱がされる頃には、身体を外気に晒していた。



あぁ、始まるのだな、と思った。



「っ………」



男は僕の身体を見て、ぐっと唇を噛み締めた。
僕の、知らない表情だった。

これから起こることはわかっている。
ただ静かに、目をつむった。



「……熱くない?」



予想していた感覚とは、違う。
ほかほかと温かいタオルが、肩に触れていた。
僕の無言を肯定と取ったのか、男は僕の身体を拭いていく。

上半身を拭くとベッドに寝かされ、そっと布団をかけられた。
布団から飛び出した下半身を、丁寧に拭かれる。
足の先、指の間まで。



「まだ、服がないから……これで、我慢してね」



新しいシャツを着せられた。
相変わらずサイズは大きい。

男は、にこりと笑う。
僕は、天井を見つめる。



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