3
side.蓮
しばらくすると、瑠依は大人しくなっていた。
疲れたのか、眠ってしまったのか、覗き込んだ姿は、そのどちらでもなかった。
「る、い……?」
瑠依は、泣いていた。
静かな泣き方だった。
無表情のまま、ただ涙が一筋、白い肌をなぞった。
先程までの泣きじゃくる様子と違って、少し不安になる。
「瑠依?」
向かい合わせになって、俺の膝に瑠依を乗せた。
腰に腕を回して、額にキスを落とす。
「何が不安?」
そう問いかけると、くしゃりと、瑠依の表情が崩れた。
ぽろぽろと泣く姿を見て、あぁ、こんな表情も出来たんだと、嬉しくなった。
「言ってごらん?」
「……ぁ……」
震える声で、瑠依は紡いだ。
「た……す、けて……」
必死にしがみつくように、シャツの裾を握られた。
それでも控えめなのは、拒絶されるのを恐れてるから。
そのまま抱き締めて、瑠依の首筋に顔を埋める。
「ん」
「こ……こわ、い……」
「ん」
「っ……れん、」
初めて瑠依が、俺を求めた。
それが、とても嬉しくて。
「瑠依、ありがとう」
耳元で呟いて、額にキスをした。
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