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side.蓮
瑠依は、この頃ひどく調子が悪かった。
身体的な傷は治っても、精神的な傷はまだまだ深かった。
調子が良くなったと思えば、崩れるように悪くなる。
一進一退の毎日に、体調にまで調子が表れるのも珍しくはなかった。
「………はぁ」
どうしようか、と溜め息がでた。
瑠依を引き取ると決めてから、瑠依のことばかり考えてきた。
仕事柄家にいることも多く、常にそばにいるよう心掛けた。
それでも、足りなかったのかもしれない。
そもそも力が無いのかもしれない。
瑠依は未だに俺を心から信頼せず、頼ることもしなかった。
「――――っ!」
声にもならない声が聞こえて、思案していた頭をすぐに切り替えた。
リビングを飛び出して瑠依の部屋に向かう。
「瑠依っ」
「っ、――っ!」
瑠依はベッドの上で頭を抱えて、踞っていた。
声は微かにしか聞こえないのはいつものこと、ただ浅い呼吸が耳についた。
「瑠依、大丈夫、」
「っ、」
触れようとすると、びくっと怯えたように震える。
大きな目から、ぼろぼろと涙が溢れていた。
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