5
side.蓮
「っ………、」
瑠依が声にならない言葉を、一生懸命紡ごうとする。
細い手が、ゆっくりと、俺に近づいた。
指先だけ、頬に触れる。
「……あれ、俺……」
泣いていた。
情けない。
つらいのは、瑠依なのに。
「ごめん、ごめんね」
ぐい、と涙をぬぐって、笑う。
瑠依はびくっと身体を震わせた。
おずおずと、コップに手を伸ばしてくれた。
「瑠依……?……飲める……?」
薬を渡すと、首をかしげられた。
あぁ、そうか。
「噛んじゃ駄目だよ、そのまま、お水と一緒に、飲み込むの」
瑠依はおずおずと、薬を飲んだ。
「っけほ、げほげほっ……」
むせてしまったけれど、飲めたようだ。
抱き寄せて、とんとん、と背中を叩いた。
「大丈夫?」
「けほっ……、」
「よく頑張ったね、ありがとう」
生きようとしてくれて、ありがとう。
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