4
side.蓮
瑠依が、風邪をひいた。
「………瑠依、」
身体を丸めて、ベッドに寝そべる姿。
顔は赤く、苦しそうにふぅふぅ息をついている。
「お薬、飲もうか」
くたりとしている瑠依の身体を持ち上げるけれど、瑠依は目を伏せたまま。
薬と水を差し出すと、後ろに後ずさった。
……これは、大変なことになりそうだ。
以前、瑠依からつけられた、傷。
包帯は取れていない。
「瑠依、お願いだから」
ぐ、と瑠依は唇を噛む。
このこは、生きることを諦めようとする。
いや、生きることが、つらいんだ。
身体は風邪とた闘うために、必死になっているのに。
瑠依自身は、闘おうとはしない。
生きる意味を、価値を、知らない。
自分の価値を、知らない。
(……ごめ、……なさ、い)
普段は声を出さない瑠依が、寝ているときに口を動かした言葉。
生まれてきて、ごめんなさい、と。
「……瑠依……」
どうしたら、伝わる?
どうしたら、わかってくれる?
瑠依のことが、大切だと。
生きて、ほしいと。
「っ………」
目の前で瑠依が身動ぎしたのがわかった。
はっと顔をあげると、びっくりしたように目を見開いていた。
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