3
 

わからない。
わからない。

大切って、なに。



「お願い、いきて」



ぽた、と落ちてきたなにか。
つめたい、みず。



なんだか、疲れた。
そのまま体を預けて、れんの指を離した。

れんは両腕で、抱き締めてきた。



「いきて、」



何度も、背中を撫でられる。
骨がういた、汚い身体。

いきるいみって、なに。



「……休もっか」



ぐったりした僕の身体を持ち上げて、ベッドにおろされた。

れんの手は、赤。
包帯も乱れてしまって。
目も、赤いみたい。



「瑠依、生きることは、嫌?」



いや。

早くここが破れて、しんでしまえばいい。
手首にぎっと、爪をたてた。



「俺と生きるのは、嫌?」



れん。
優しい声。
大きな手。
いい匂い。

僕を、傷付けない。



「一人じゃ、ないよ」



僕は、ひとりで、



「一緒に、生きていこう?」



一緒に?



―――『生まれて、こ、なけ、れば……』



生きてても、いい?



「ここにいて、いいよ」



声に出来ない言葉を、れんが汲み取る。



「……ぃ、」
「うん、怖いね」



生きることは、
信じることは、
とてもとても、怖いこと。



「俺が、一緒だからね」



ひとりは、こわかった。



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