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「瑠依……?」



気付いたら、男の服の裾を握りしめていた。

いかないで、いかないで、と、何度も願う。



いらない、のに。
嘘つきは、いらない。

きらい。
でも、いや。
どこにも、いかないで。



「ここにいるよ、大丈夫」



男は、また笑って、僕の頬を両手で包んだ。



「……泣かないで」



僕を、いると、言ってくれた。



「ここにいるからね」



そっと抱き締められる。

そばにいると、言ってくれた。



しんじても、いい?



嘘つきは、嫌いだけれど。
嘘つきじゃ、ないって。



「……、」
「うん?なぁに?」



声が、うまく出せない。
視界が霞むのはどうしてだろう。

それでも、伝えたい。



「……れ、…ん」
「……!」



あなたの、名前。



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