6
 

「……あの、なあっ」
「?」



航が顔を反らして、手で口を押さえている。
目が泳ぐように動いていて、耳が赤い。



「そゆとこだっつの」
「え?」
「そゆとこが可愛いっつってんの」



目が合い、手で隠された。



「え、ちょ、こうっ」
「見ないで、俺今すっごい変な顔してるから」
「へ、」
「ったく無自覚はこれだから困る」



よくわからないまま、口を塞がれた。



「ん、」
「俺も、だいすき」



口が離れて目をあけると、照れたように笑う航の姿があった。



4年前と、全く違う世界。
想像も出来なかった、優しさ。



(どうか、神様)



ずっとこの笑顔を、僕のものだけに。



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