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「……あの、なあっ」
「?」
航が顔を反らして、手で口を押さえている。
目が泳ぐように動いていて、耳が赤い。
「そゆとこだっつの」
「え?」
「そゆとこが可愛いっつってんの」
目が合い、手で隠された。
「え、ちょ、こうっ」
「見ないで、俺今すっごい変な顔してるから」
「へ、」
「ったく無自覚はこれだから困る」
よくわからないまま、口を塞がれた。
「ん、」
「俺も、だいすき」
口が離れて目をあけると、照れたように笑う航の姿があった。
4年前と、全く違う世界。
想像も出来なかった、優しさ。
(どうか、神様)
ずっとこの笑顔を、僕のものだけに。
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