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僕と航は、どうやら「こいびと」とかいうものになったらしい。
今まで何が違うのか。
何を変えればいいのか。
よく、わからないけど。
「奈津、かえろ」
「……ん、」
差し伸べてくれる手がある限り、
(僕は、)
(1人じゃない)
自己満足なのかもしれない。
自分の孤独を埋めるために、航を利用しているのかもしれない。
それでも、航が僕を必要として。
僕が航の傍にいたいと思う気持ちが―――好き、という感情であるならば。
利用してても、されてても、いい。
「なんか、考えてる?」
「え?」
「妙に静かだから」
航の部屋。
僕は初めて、航の部屋に呼ばれた。
僕の部屋とは違って、少し物が多い。
航の匂いが、する。
「奈津はほっとくとネガティブ思考に走るから。心配なんだよな」
そう言いながら、優しく頭を撫でてくれる。
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