3
「……つ、奈津、」
「ん……?」
「眠たくなっちゃった?」
膝を立ててそこに顎を乗せていると、いつのまにかうとうとしていたみたいだった。
「横になってていいよ」
こたつの温かさと眠気に、思わずころんと寝転んだ。
頭上で航が笑うのがわかった。
こたつの魔力だ。
磁石みたいに、離れたくなくなってしまう。
航は相変わらず僕の向かい側に座るから、伸ばした足でつんつんと突いた。
「なぁに、奈津」
どうしてそんな遠くにいるの。
「こう、ここ、来て?」
隣を開けてとんとん、と手で叩くと、航は一瞬ぽかんとしてから笑った。
僕の隣に寝そべってくれたから、すぐにすり寄る。
航は僕の頭に腕枕をして、抱き抱えるようにしてくれた。
「こう、あったかいね」
「ん、あったかいね」
「ぽかぽか……」
すぅ、と息をすると航の匂いがした。
ずり落ちた布団を航が肩までかけてくれる。
こたつは少し狭かったけれど、くっついていれば気にならない。
一緒に、ぽかぽかと温かい。
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