6
 

(……ごめんね、)



本当は、僕は知っていた。
航は、僕のせいで苦しんでる。



「……な、つ……」



眠りが浅くなった、朝のこと。
そろそろ起きる時間だと目を覚ますと、隣の航はうなされていた。

僕の名前を何度も呼んで。
起こすと、震えた手で抱き締められて。



(僕のせい、)



僕が航の枷に、重荷に、なっている。
傍にいるべきではないとも思う。

けれど、



「お願い、どこも、いかないで……」



いつも笑ってくれる航が、消えそうな声で、そう言うから。



(僕は、ここにいる)



航が、嫌だと言わない限り。
傍にいてというなら、僕はここにいる。

僕の居場所はここにしかない。



「ここに、いるよ」
「ん」
「どこにもいかないよ」
「……ん」
「一人に、しないよ」



いなくなるときは、一緒がいい。



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