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side.航



「っ……」



そこには、静寂しかなかった。

外の騒音や、風の音も。
電子音も点滴が落ちる音も。



奈津の呼吸さえ、聞こえなかった。



「な、つ……?」



向こうの窓は、憎たらしいほどの晴れ。
目の前のベッドは、息を飲むほどの白。

足がもつれる。
ふらふらとベッドに駆け寄った。



奈津は静かに、そこに横たわっていた。

眠っているかのようなそれは、時が止まった美しさだった。



「な、つ」



声が掠れる。

閉じられた目の縁を彩る、睫毛が綺麗で。
永遠に開けられることのない目に、恋い焦がれた。

触れた手は、ひどく冷たい。
柔らかな頬は、まだ温かかった。



「なつ、なつ、」



何度も名前を呼んだ。
目を開けるまで呼ぼうと思った。

もう一度、優しい声で、俺の名前を呼んで。
ふわりと、花が咲くように笑って。



涙で視界が歪む。
そっと、キスをした。



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