3
side.航
可愛いな、もう。
「ん、甘えられなかったぶん、いっぱいぎゅーってしよ」
俺も腕を回して、奈津を抱きしめた。
片手で髪を撫でると、くすぐったそうに身じろぎする。
「ぼ、ぼくが、いなかったとき」
「ん?」
「なに、してた……?」
抱きついてきたまま、真下からじっと見つめられる。
こんな至近距離も、久しぶりだ。
「ずーっと奈津のこと考えてたよ?学校行っても、部屋に帰ってきても、ずーっと。面会の関係もあるから無理だったけど、本当は毎日でも会いに行きたかったよ?」
「っ………」
ぐりぐり、と頭を押し付けられる。
……耳、真っ赤だ。
「おかえり、奈津」
「ただいま……」
本当に久しぶりに、この部屋でキスをした。
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