5
「元気、あの、退院」
「ああ、もう少しだって言っていましたね」
「また、保健室……行ってもいい……?」
もう、僕の居場所じゃなくなっているかもしれない。
僕の居場所がなくなってしまうかもしれない。
それが、怖かった。
「……はい、いつでも来て下さい」
ふわ、と頭を撫でられて。
僕はまた、戻れる。
「せんせ、」
「はい?」
「なんか、違う……?」
変わったのは、僕?
それとも、
「前と、雰囲気が、」
柔らかい笑顔をする先生。
今はちょっと違う。
そう、幸せ、そうな。
うまく言えなかったけれど、先生はまた笑って、僕を抱き締めてくれた。
(そっか、)
先生は今、幸せなんだ。
満月先生の肩越しに、皆川先生が笑っているのが見えた。
前へ top 次へ