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side.航



宿泊許可、というものをもらった。
満月先生の知り合いがいるこの病院で、満月先生が手はずを整えてくれたらしい。

久しぶりに、少し長くいられる。



「顔色、前より良くなったね」
「そう、かな」



学校が終わって、いつものように病院へやってきた。
今日は金曜日。
宿泊の日だ。

このことは、奈津には言っていない。
驚かせたかったし、それに……。



「あ………」



奈津が壁にかけられた時計を見て、ぽつりと声をもらした。
そして、俯いてしまう。

俺が、帰ってしまう時間。
この時間になると、奈津は俺と目を合わせてくれなくなる。
ぎゅっと、シーツを握りしめる。



「っ………」



気付かないわけがない。

震える小さな肩に。
力の入った手に。



「……奈津」
「っ……なに」
「俺、帰るな」



椅子から立ち上がる。
奈津がぎゅっと、さらにシーツを握りしめる。

痛々しい。
顔を、あげてくれない。



「……もう」
「……?」
「もう、俺、明日から来ない」



これははったり。

お願い、奈津。
言葉を、ちょうだい。



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