4
 

side.満月



しばらくして、奈津は目を覚ました。
高梨は自分を責め、かなり参っていたようだったから、一旦寮へ帰るように指示をした。
そして、奈津の荷物を、まとめるようにとも。



「にゅ、いん……?」
「はい」



奈津はぱちぱちと瞬きをしていたが、次第にじわりと涙が浮かんで、かぶりを振った。



「っ、や」
「駄目です」
「っ……へ、き……いらない、入院、っ」
「いいえ、あなたの状態はかなり悪いです」



聞きたくない、とでも言うように、奈津は耳をふさいでしまった。

通院は何度もあれど、入院は、奈津が保護されたとき以来だった。
いい思い出は、あまりないだろう。
あのときは、周りはすべて敵、という状態だったから。



「ふ、ぅ……っわる、くな、っ、どこも、」
「自分でもわかっていたでしょう?自分の身体がおかしいことに」
「っ、知らな、」
「我が儘言うんじゃありません」



少し、言い過ぎているかもしれない。
奈津は傷ついたかもしれない。
俺のことを、嫌いになったかもしれない。

それでも、よかった。
こうでもして入院させなければいけないほど、奈津の病状は思わしくない。



「永遠にではありません。改善すれば、学校に戻ってこれます」
「っ……」
「このまま学校に居続けて、迷惑かけたいですか?」
「……!」



奈津はぶんぶん、と何度も首を横にふった。
そっと、頭を撫でた。



「いいこです」



さて、準備をしなければ。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -