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side.航



「栄養失調、ですね」



満月先生が戸惑ったような声を出した。

あれから奈津は保健室に運ばれ、今は薬を飲んで眠っている。



「栄養失調、って、」
「食事の量が少ない分、点滴でまかなってはいたんですが」



確かに、少し痩せましたね、と先生は奈津の額を撫でた。



「じゃあ、なんで」
「……これは私の推測ですが」



ぐっ、と先生は苦しそうな顔をした。



「吐いて、いたんでしょうね。口に含んだものは。だから少しの点滴や栄養剤だけじゃ、足りなくなった」
「え……」
「……確定ではないですが、可能性としては低くはないでしょう」



目の前が、真っ暗になったような気がした。
前より奈津は、食事ができるようになった。
必ず昼は、一緒に食べていた。

昼休みが終わると、俺は授業に、奈津は保健室に行く。
また後で、と手を振った奈津が、次に向かったところは、



「っくそ……」



気付いて、やれなかった。
そうして、ここまで追い詰めた。

原因がどうであれ、いつも傍にいた俺が、気づいてやれなかったなんて。
ぎり、と痛いくらいに拳を握りしめた。



「入院、です」



ぽつりと、先生は告げた。



「十分な栄養と、体力が戻るまで」



青い顔をした奈津が、映る。

少しずつ、教室に来れるようになって。
喜んでたのは、自分だけだった。



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