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side.航




この日もまた、いつものように奈津はホームルームにやってきた。




「航、」



ひょこ、と廊下側のドアから顔を出す奈津に、自然と口角があがるのがわかった。



「おいでー……って、」
「……?」
「……顔色、悪くない?」



ちょこんと隣の席に座った奈津に問いかけるけれど、そうかな、とさして問題の無さそうな返事が返ってきた。

考えすぎ、なのかも。



「ホームルーム始めるぞー」



声とともに皆川先生が入ってきて、騒がしかった教室も自然と静かになっていった。
俺も前を向いていたし、奈津の言葉もあって、そう気にしてはいなかったのだけど、

それは、ホームルームも終わりかけの頃。



「?」



くんっ、と裾を引かれた。
ん?とそっち―――奈津の方を見ると、額に汗を滲ませて、口元を手で押さえてぎゅっと目を瞑っていた。



「なっ……」



思わず大きい声が出て、皆川先生の言葉が途切れた。



「浅井か、」
「すんません、保健室、連れていきます」



ふらつく奈津の身体を支えながら、教室を出ていった。



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