3
 

side.航



「奈津……?」



きゅっと、首に腕が伸びてきて、抱き締められた。
名前を呼ぶと、更にその力は強くなって。



「どうしたの、甘えたくなった?」



背中をぽんぽんしながら笑って問い掛けると、奈津は小さく、こくりと頷いた。



「航、あのね、」
「うん?」
「あのね、すき、好きなの」



突然の甘えと、突然の告白。

奈津に嘘は通じない。
欺瞞や同情さえ。
繊細だから、すぐ気づいて。
純粋だから、駆け引きさえできない。

いつも真っ直ぐな言葉だけが、そこにはあって。



「うん、俺も好きだよ?」
「あ、あの、ぎゅうって、したかった」



ずっと、ぎゅうってしたかった、と。
奈津が一生懸命伝えてくれた。

愛されるってこういうことだろうなと、俺は、ぼんやり思う。



「うん、俺いっつも奈津とぎゅーってしたいって思ってるよ」
「ほ、ほんと?」
「ほんと。ちゅーしてい?」
「っ………」



奈津がびくっとして、おずおず腕の力を緩めてきた。



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