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side.航
「奈津……?」
きゅっと、首に腕が伸びてきて、抱き締められた。
名前を呼ぶと、更にその力は強くなって。
「どうしたの、甘えたくなった?」
背中をぽんぽんしながら笑って問い掛けると、奈津は小さく、こくりと頷いた。
「航、あのね、」
「うん?」
「あのね、すき、好きなの」
突然の甘えと、突然の告白。
奈津に嘘は通じない。
欺瞞や同情さえ。
繊細だから、すぐ気づいて。
純粋だから、駆け引きさえできない。
いつも真っ直ぐな言葉だけが、そこにはあって。
「うん、俺も好きだよ?」
「あ、あの、ぎゅうって、したかった」
ずっと、ぎゅうってしたかった、と。
奈津が一生懸命伝えてくれた。
愛されるってこういうことだろうなと、俺は、ぼんやり思う。
「うん、俺いっつも奈津とぎゅーってしたいって思ってるよ」
「ほ、ほんと?」
「ほんと。ちゅーしてい?」
「っ………」
奈津がびくっとして、おずおず腕の力を緩めてきた。
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