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side.航



「あー眠い……」
「高梨さっさと課題やれよー」
「んー……」



授業中、俺は机にへばりついていた。
先生の出張が入ったこの時間は自習になっていて、溜めっぱなしの課題を片付けているところ。
後ろから同じく課題をしている春川が、うるさく声をかけてきた。



「こんな溜めたのが馬鹿だったよなー」
「………」
「高梨きいてる?」
「………」
「ねぇって、」
「っだー!俺は集中してんの!お前うるさい!」
「ひでー!」



課題を溜めたら、自ずと奈津と会う時間だって減ってしまう。
だから今のうちに、片付けてしまいたい。



「………」
「………」
「たっ……たか、高梨っ」
「………」
「高梨ってば!」



春川が背中をばしばし叩いてきた。



「なんだよ!俺集中してるって、」
「違うって、あさ、浅井、がっ」
「へ、」



春川が教室の後ろドアを指差しながらびっくりしていた。
元々騒がしかった教室も、ざわざわが大きくなっている。



「な……つ……?」
「あ……」



ドアに半分隠れるように、奈津が顔を出していた。
俺はびっくりして、思わず駆け寄ってしまった。

授業中で人通りがないとはいえ、一人で、教室にくるなんて。



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