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航の声が、優しい。
「俺は、ちゃんと奈津のこと好きだよ。だからぎゅってしたくなるし、キスしたくなるし……もっと先のことも、したくなる」
「っじゃあ」
「でもね、好きだから、しない」
「……?」
どういう、意味だろう。
きっと変な顔してたんだろう、航が僕を見て少しだけ笑って、額にキスをした。
吐息が、くすぐったい。
「好きだから、大事にしたいの。だから我慢は、きついことじゃないよ」
「………きつく、ない」
「そう。奈津のことが、大切なの」
言葉が、くすぐったい。
大切だなんて、言われたことなかったから。
僕は、大事にされていい、人間になれたのかな。
まだ、よくわからないけれど。
取り敢えず、嫌われはしないみたい。
安心して、ぽろ、と涙が出た。
「……泣かないで」
「うん……」
「寝よっか」
「ん……」
しっかり、手を繋いだ。
そしたら一瞬だけ離されて、また手を繋がれた。
指と指を、重ねる繋ぎ方。
温かい。
「おやすみ」
「おやすみ……」
また明日。
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