3
「……航」
「ん?……眠れない?」
「ううん……」
のそ、と航の腕を抜け出して、顔を合わせる。
「……ちゅー、して」
「……うん」
僕の、精一杯。
航は少しびっくりして、けれどすぐ笑って、軽くちゅっとキスしてくれた。
「……もいっかい……」
ぽつりと言うと、ちゅっと降ってくる。
また頭を抱えられて、寝かしつけるように背中を一定のリズムで叩かれた。
「やっ……もっかい、ってば……!」
「………」
一瞬間があって、航がまたキスしてくれる。
「なんで泣いてるの」
言われて、気付いた。
気付いたら、とまらなくなった。
「ふ、やぁ……っも、いっかい、してよぉ……」
「奈津、変だよ、なんかあった?」
「うぇっ、う、僕、できないから……っ」
「え?」
ゆっくりでいいから、教えて?と航に耳元で囁かれた。
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