1
「………あ」
目を覚ました。
一人、部屋でむくりと起き上がる。
今日は航が生徒会だったから、一緒に帰ってすぐに別れた。
もう夜だ、帰ってきてるかな。
部屋を抜け出して、向かいの航の部屋へ。
扉を叩こうとして、
「………?」
声。
誰かいるみたい。
「正直さ、どうなの」
「んー……やっぱほら、な」
会話の相手は春川くんみたいだ。
「奈津はがっつく方じゃないしさ」
「!」
突然僕の名前が出てきてびっくりした。
僕の話、してるの?
「でも一緒寝てるんだろ?大丈夫なの?」
「う……本音言えば、そりゃシたいけど!」
したい、って、何?
何を?
「高梨も健全なおとこのこだもんなーそりゃ身体もたないわな」
「っ……うるせー!」
僕は黙って、部屋に戻った。
さすがに、僕だってわかる。
何のことを話してるのか。
航は、我慢してたのかな。
前へ top 次へ