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「……猫、ですか」
「はい……」
「うーん……猫は好きですけど、マンションはペット禁止で……」
「………」



早速次の日、保健室で満月先生にお願いしたけれど、次の通り。
こっそり連れ出した白ねこが、にゃあ、と鳴いた。
満月先生が抱き上げて、愛でるように頭を撫でた。



「皆川先生いかがです?」
「おい馬鹿、近付けんなっ……ふ、くしゅっ」
「……?」
「もしかしてせんせ、猫アレルギー?」



航が言うと、皆川先生は鼻を啜りながら頷いた。



「それじゃ皆川先生も無理かー……」
「う……」



がっくりうなだれていると、未だ猫を抱いている満月先生がきょとん、とした顔をした。
先生、猫好きなんだな。



「飼えばいいじゃないですか、寮で」
「でも部屋は……」
「部屋じゃなく、です。寮の猫として飼うんですよ」



よく、わからない。



「いますよ、学校猫ならぬ寮猫。寮の中庭に住み着いてる猫がいるんです。害も与えないし、今は寮長が餌やりもしてるみたいです」
「知らな、かった……」
「こんな辺鄙なとこですからね、野良猫が餌を求めるのはここしかないんですよ」



そしたら奈津も、また会いに行けるでしょう?と頭を撫でられた。
ねこがひとりにならなければ、それで、良かった。



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