7
突然に、航がちゅっと口付けてきた。
抱き締められて、肩ごしに花火が見えた。
「行きたくないわけじゃないけど」
「っ……」
「でも俺の一番の望みは、奈津と一緒にいることだから」
……本当に?
「あの、あのね、」
「うん?」
「待ってて、くれる?僕が、普通みたいに、なれるまで……っ」
僕も、頑張りたいから。
航と色んな思い出を、作っていきたいから。
「待つもなにも、ずっと、一緒にいるよ」
「……うん……」
どん、どん。
あんなに怖かった花火の音は、もう怖くない。
「そうだ」
「?」
「アイス食べよ、夏っぽく」
「……あ、う」
「ん?」
「もうちょっと、このまま……」
言うと、航が小さく笑った。
「可愛いなぁ、もう」
「……かわいく、ない……」
「可愛いの。ずっと一緒いたい」
抱き締める腕の強さが、強くなった。
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