3
 

side.航



「………航?」



保健室に奈津を迎えに行って、一緒に帰宅。
制服から着替えて、今日は俺の部屋に奈津が来ている。
ソファに座って一息ついたとき、奈津が俺の顔を覗き込んだ。



「え、なに?」
「元気、ない……」
「え」



そっと、頬に手を添えられた。
心配そうな瞳が、こっちを見ている。



「具合、悪い?風邪とか、」
「や、大丈夫だよ」
「うそ、元気ないもん……」



優しい手が頭に伸びて、髪を梳くように撫でられた。
慈しむようなそれに、心がぎゅっとなった。

奈津はこんなに、俺のこと、



「ごめん、奈津、大丈夫だよ」
「………」
「ありがと」



未だ心配そうな奈津の頬に、ちゅっと口付けた。
少しだけ驚いて、はにかむように、笑ってくれた。

……花火、試しに誘ってみようかな。



「ね、今日何の日か知ってる?」
「今日………知らない」
「春川から聞いたんだけど、」



次の瞬間、どん、どんと大きな音が空に響いた。



前へ top 次へ

 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -