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side.航



「高梨っ!」
「わ」



夏の補習が終わって、騒めく教室。
後ろの席の春川竜也に背中をぺしぺし叩かれた。



「何、びっくりした」
「今日祭りじゃん?どーすんの?」
「まつり?」



え、知らねーの!と春川は驚いた顔をして、鞄をごそごそし始めた。



「あった、これ!結構でかい花火やるんだってさ」
「へぇ」



春川が見せたのは、花火大会のチラシ。
寮生活だし、元々はここあたりが地元じゃない。
そんな祭りがあるとは薄々聞いてはいたけど。



「今日だったのかー」
「浅井と行くの?」
「んー……」



折角なら行きたい、けど。
……行けないんだろうな。



「……春川は行くんだろ、どうせ」



あたるつもりはなかったけど、少し言葉がきつくなったのが自分でわかった。



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