3
 

ばたん、とドアが閉まる。

熱があるのは確かなようで、少しだけぼーっとした。
さっきも寝ていたのに、また眠くなってくる。



(……ねむたい、)



一人になると、色々考えてしまう。

……僕、航と、昨日。
思い出して、顔が赤くなってしまう。

幸せな気持ちだった。
初めてな気持ちだった。
傍にいたい気持ちが爆発して、もっともっとと航を求めた。



―――同じ行為なはずなのに。



苦しみしかなかった。
陽が落ちるたび、夜が近づくたび、怖かった。
痛みと、苦しみと、悲しみと。

目を覚ますと、決まって一人だった。
そこには誰もいなかった。

痛む身体を動かして、夜を思い出して、自分の皮膚に刃をたてた。
自分の存在が、わからなかった。

あの時。



(……航、っ)



どくりと、心臓が脈打つ。
息ができなくなるのは、いつものこと。

航は、違う。
同じ行為でも、同じ気持ちじゃない。
航は違うと、わかっているのに。



「っ……は、ッ」



早く、僕を、安心させて。



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