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side.航
とはいえ、騒ぎたてるほどではない、微熱。
奈津が体力があまりないのは自明で、服を着せたり布団を肩まで被せたりとしていたけど、無理だったようだ。
「ごめんなー……」
「……なんで、謝るの……?」
「んーん、何でもない」
悪化させないために、奈津には安静にしてもらわなくちゃ。
スポーツドリンクとか、氷枕とか、必要だろうか。
本当は満月先生に任せたがいいんだろうけど、今はなんとなく、会わせたくない。
今だけは、俺の傍にいてほしい。
……わがままだ。
「航……?」
「あ、ごめん。ほら、ちゃんと布団被って」
考え込んだ俺を心配してか、奈津が体を起こそうとした。
ぽふん、とベッドに沈めると、心配そうな目がこっちを見ていた。
「なんか飲み物とか買ってくる。今なんもないから」
「………」
「……んな不安そうな顔しないの。すぐ帰ってくるから」
頭を撫でてやると、くすぐったそうに奈津は笑った。
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