1
side.航
朝、喉の渇きを覚えて水を飲んでいると、奈津が身動ぎした。
「ん……」
「起きた?」
「……?」
「ちょ、急に起きたら」
「……っ!?」
奈津の動きが中途半端に止まった。
肩を抱いて、ゆっくり横にした。
「な、えっ……なに、」
「痛かった?大人しくしときな」
「あ、う……」
痛みの原因を理解したのか、奈津の顔が赤くなる。
頭を優しく撫でて、額にキスしてやった。
「あっ、ぼく、」
「ん、思い出した?」
「っ……!」
ばっと布団の中に潜り込んで、隠れてしまう。
恥ずかしがっているのが可愛くて、上から抱き締めた。
「ぼく、っ……変な、」
「え?可愛かったよ」
「っ……きらい、に……」
「なるわけないじゃん」
あんな、可愛かったのに。
奈津がそろそろと、布団から顔を出してきた。
少しだけ、涙目だ。
触れるだけのキスをすると、はにかんだように、笑ってくれた。
「……あれ」
「………」
「ちょっと熱、あるかも」
額と額をくっつけた。
前へ top 次へ