1
side.航
とろんとした目の奈津を抱き上げて、ベッドに降ろした。
「いいの、奈津」
前のことを思い出す。
抑えきれなくなって、奈津を抱こうとして、怖がらせた。
もうあんな思いは、させたくないから。
「……え……?」
……あれ、わかってない。
「もっとすごいこと、していい?」
怖かったらやめるけど、と前置きして、するりとシャツの中に手を滑らせた。
脇腹を撫でると微かに奈津が身動ぎして、察したのか顔を赤くした。
「こうは、したい……?」
「……まぁ、俺もおとこだし……奈津のこと、好きだし……」
正直に言うと、奈津がぎゅっと抱きついてきた。
「僕も、好きっ……」
「……!」
「もっと、欲しい……」
こんなこと言われて、やめるやつなんていない。
「怖くなったら、言って?やめるし、」
「怖く、ないよ……航だから」
100%の信頼。
奈津を苦しめた、父親と同じ行為のはず。
違うのは、心の通い方。
奈津も感じてくれたのだと思うと、嬉しかった。
前へ top 次へ