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side.航



「写真は駄目だって言って……ほら、そこー!」



春川が俺と同じような格好をして、ばたばたと走り回っていた。
お店がはじまると、人づてに噂されていた奈津を一目みようと、次々に客がやってきた。

喫茶店は2つに分かれていて、半分がお客様スペース。
もう半分が従業員スペースと、展示スペース。
クラスメイトがケーキやらを準備している傍ら、展示スペースに置かれたソファに俺たちは座っていた。
アンティークな部屋を再現したスペースに、奈津は溶け込んでいた。



「にぎやか、」
「だろ?しんどくない?」
「大丈夫……ちょっと、」
「え、保健室に」
「違っ……ちょっとだけ、近づいた、気がする」



普通の生活に。
奈津はそう言って、嬉しそうに笑った。

普通の学生みたいに、溶け込みたかったんだろう。
俺も、嬉しくなった。



「おや、のんびりしてていいですね」
「茶、茶ぁ出せ」
「満月せんせっ、と、」
「変か?」



2人の登場に奈津が驚くのも無理はない。
保健医の満月先生はいつもの白衣。
一緒に来た皆川先生はうちの担任だ、同じようにコスプレをしている。
なんだか執事みたいだけど。



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