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side.航



奈津を見て教室中がざわめくのがわかった。
お姫さまだっこをしたまま、ソファに座る。
あんま見せたくない……と思いながら、俺のこいびとだと自慢したくなる。

奈津は俺の膝に座りながら、アンティークな喫茶店の様相をしている教室を、キョロキョロと見渡していた。



「浅井、よろしくなー」
「よろしくー!」
「へ、ぁっ」



クラスメイトが奈津に声をかけてくれた。
約束は守って、少し離れたところから。
他人から話し掛けられて怖がらせたかなと思いきや、



「うん……っ」



精一杯にそう言って、少しだけ嬉しそうに笑った。



「大丈夫そう?」
「ん……」



耳打ちすると、奈津も俺の耳元で告げた。



「航がいるから、大丈夫、だよ」



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