3
 

「……航?」
「あ、ごめん」



僕の手を撫でながら、何か航が考え込んでいた。



「航も、何か、着る?」
「俺?着るよ、女装じゃなくて普通のだけど」



ウェイターするんだ、と言って笑った。
ウェイター、が何かよくわからないけれど、航も一緒なら、何でも出来る気がした。



「あー……奈津かわいいだろうな」
「っ……」
「俺がウェイターでいつも奈津の隣にいるようにするから、心配するなよ」



さらさらと、髪を撫でられた。

航は、優しい。
僕のことを、考えてくれる。

狭い世界にいたせいで、勉強もろくにできないし、知識もない。
人と触れ合うことさえ、苦手な僕だけれど。

航の隣にいる資格だけは、



「……ちゅーしてい?」
「へ、」
「しちゃお」



航の腕の中にいる、権利だけは、
どうか、奪わないで。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -