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「僕、が……?」
「いや、絶対とかじゃなくて。良かったらーってくらいでさ」
航の部屋に帰ってから、新歓祭の話をされた。
僕がクラスの出し物に参加するとかしないとか。
「でも、なんっ……僕が、」
「んー、なんつーか。奈津、実は有名なんだよな」
「え!?」
有名との言葉に不穏な響きを感じた。
僕の不甲斐なさが有名になってるとしか。
「悪い意味じゃなくて!良い意味で」
「え?」
わけがわからない。
すると航が、ふわりと抱き締めてきた。
「え、え、っ」
「……奈津かわいーから。クラスの奴らも知り合いになりたいって」
「かわ、っ……」
「あー、あいつらに見せたくない……」
ぎゅうっと腕を強くされる。
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