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「次の自習の時間にみんなに発表するつもり。却下されたらあれだけど」
「せいぜい頑張れ」
航があしらって、春川くんはしょんぼりした。
新歓祭、じょそうきっさ……なんだか面白そうで。
でも僕には眩しすぎる世界だ。
航はまだいいにせよ、普通に話せるくらいの春川くんでも触られるのは苦手だ。
まして知らない人がたくさんいるところなんて……考えただけでもぞっとする。
「浅井も気が向いたら参加してくれな!」
「あ……」
「屋台とか出るらしいし、一緒にここで食べよ」
満月先生も、と春川くんがにこりと笑った。
春川くんは僕に害を与えない。
航も、満月先生も、皆川先生も。
優しい人ばかりだ。
「ありが、と」
「……!」
一生懸命、お礼を。
ふい、と春川くんが目をそらして、航の肩を突いた。
何か耳打ちして、頭を叩かれていた。
横顔の頬が赤い。
僕、何か変なこと、したかな……?
「あっ、時間!航、授業はじまる!」
「あー…じゃあ、奈津また後で」
「うん、」
ぱたぱたと、2人は出ていった。
チャイムが、鳴りはじめた。
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