5
 

……あれ?
なんか記憶が曖昧。

気が付いたら僕は航にキスされていて、苦しい。



「や、っ……ぅ、ん」
「まーだ」



航は離してくれない。
でも息がうまくできなくて、肩を叩いて主張した。
航がようやく離してくれて、名残惜しそうに銀色の糸が僕と航の間を繋いだ。



「何、っ……何して、」
「あれ?」



首を傾げて、航が顔を覗き込んできた。



「戻った?」
「……何、が?」
「あー……なんでもない」



小さな声で良かったーと言いながら、航が抱き締めてきた。
足を動かすと足の裏がシーツと擦れた。



「痛っ……」
「あ、怪我してたんだったね。手当しなきゃ」
「怪我?え、僕、」
「いーの。後で教えたげる。ちゅーせがんだのも奈津だからね」
「え!?」



穴に入りたいほど恥ずかしい過去を聞かされた。

でもね、今も一緒だよ。
航に傍にいて欲しいって気持ち。



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