3
side.航
コンビニの袋をがさがさならして帰ると、寮の入り口で春川を見つけた。
「春川ー何して、……奈津!?」
「こっ、こぉっ……」
駆け寄ってしゃがみこむと、奈津がぎゅうっと首に腕を回してきた。
わんわん泣きじゃくっている。
「お前どこ行ってたんだよもー……」
「ごめん……よかった、春川で」
泣いている奈津を抱き上げた。
「にしても、その、浅井どうした……?」
「あー……気にすんな、ちょっと色々……」
「……そっか。なんかあったら言えよ、俺も協力するし」
じゃ、と春川が先に中に入っていった。
ぽんぽん、と奈津の背中を叩きながら俺も部屋に戻ることにした。
……後で春川にちゃんと、お礼しよう。
知らない人に話されたり、もしかしたら車に……とか考えるとぞっとした。
裸足で、怪我してて、パジャマのまま。
慌てて飛び出したようなそれに、ぐっとなった。
部屋に着いて奈津をベッドにおろすけれど、腕は離してくれなかった。
俺もベッドにあがって、奈津を抱き締めた。
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