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目を覚ますとそこには誰もいなかった。
身体を起こしてしんと静まりかえる部屋を見渡す。
「……こ、う」
擦れた声が静寂に消えた。
ソファから立ち上がろうとして、足がもつれてしまってそのまま床に転げてしまった。
鈍い音と痛み。
じわりと、涙が浮かんだ。
どこいっちゃったの?
俺がいるから、って言ってくれたのに。
おかーさんも。
おとーさんも。
こうも。
どこかへ行ってしまうの?
僕はまた、一人なの?
「ふぇ、っ……ぅ、」
涙が止まらない。
床を這うようにして、ドアまで向かった。
よろけながら立ち上がって、裸足を冷たい床に置いた。
ドアを開けると、ひやりと外の空気がした。
こう。
こう。
会いたいよ、
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