1
 

目を覚ますとそこには誰もいなかった。
身体を起こしてしんと静まりかえる部屋を見渡す。



「……こ、う」



擦れた声が静寂に消えた。

ソファから立ち上がろうとして、足がもつれてしまってそのまま床に転げてしまった。
鈍い音と痛み。
じわりと、涙が浮かんだ。

どこいっちゃったの?
俺がいるから、って言ってくれたのに。

おかーさんも。
おとーさんも。
こうも。
どこかへ行ってしまうの?

僕はまた、一人なの?



「ふぇ、っ……ぅ、」



涙が止まらない。

床を這うようにして、ドアまで向かった。
よろけながら立ち上がって、裸足を冷たい床に置いた。
ドアを開けると、ひやりと外の空気がした。

こう。
こう。

会いたいよ、



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -