3
「ただいま、奈津」
「おかえりなさあい!」
「いい子にしてたか」
「うんっ!あのね、」
抱き締められる。
何年前の記憶?
「おとうさん、だいすき」
「おとうさんもだよ」
まだ、普通の頃。
僕は4つくらい。
優しくて大きな手が、僕の頭を撫でてくれた。
その手がだいすきで、いい子にしてた。
寂しかった。
でも言わなかった。
迷惑かけると思ったから。
お父さんは怖くなった。
僕はどうしていいかわからなくなった。
でもまた、優しくなった。
真っ白な病室で、僕を抱き締めてくれた。
僕が大好きだった、お父さんに戻った。
おとうさん、
おとうさん、
僕、いい子にしてるよ。
だからまた、頭撫でて?
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