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side.航



最初はお父さんがいなくなって、無意識に寂しいのかと思っていた。
甘えられるのは嫌いじゃないし(むしろ大歓迎だ)、甘えたきゃ好きなだけ甘えればいいと思っていたけれど。

なんか、違う。



「いやーじゃなくて。ほら、剥がすよ」
「やぁっ……うー……」
「………」



布団をひっぺがした。
まだ眠いのか、とろんとした目で見られた。
あら可愛らしい反応……じゃなくて。



「奈津?」
「う?」
「え、」



言葉を、話さない。
いつもなら「やめてよ」の一つは言うはず。



「俺、俺の名前、呼んで?」
「……こお?」
「……あ、なんだ」



気のせいか、



「こお、だいすき」
「……へ?」
「おくすり、のむ」



舌ったらずな声。
いつもと違って、にこにこ笑っている。
それはそれで可愛いのだけど。

なんか、違う。



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