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side.航
「奈津、起きて?」
「……ん、」
奈津のお父さんのお葬式が終わって1週間が経った。
俺と満月先生が心配していた、奈津の不安定な状態とかいうのはあまり出なかったようで、一安心。
(……でも、なあ)
柔らかな光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。
眩しさに奈津はうなり、布団の中に潜り込む。
(……いつから、ここに)
あれから奈津は、なんだか甘えん坊になってしまって。
夜中にこっそり俺の部屋に来ては、いつの間にか一緒に眠るのだった。
(……ま、いいけど)
布団をかぶる奈津の肩を揺すった。
「なーつ。もう12時だよ、薬飲まなきゃ」
「やぁー……」
甘えるような声で、布団を剥がされるのを嫌がる。
……ちくしょうかわいい。
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