4
身体がガタガタ震えた。
涙がこぼれた。
僕はもう、拒絶されてしまったら、
「ふ、っ……う、ぇっ、」
「……奈津」
「ひっ、く……ふ、」
泣きじゃくって、お父さんの言葉をかき消した。
聞きたくなかった。
「……こっちに、おいで」
「っ、う……ふ、ッ」
「大丈夫、」
涙が止まらないまま、震える足で歩いた。
お父さんに近付いて、伸ばされた手に触れて、
「っ……!」
「………ごめんな」
腕を引かれて、抱き締められた。
今までひどく抱かれることはあれど―――優しい抱擁はなかった。
慣れないそれに、僕は身体を固くした。
「俺の、大切な息子」
「……!」
「たった一人の、愛する息子だ」
僕は震える手で、お父さんの背中にしがみついた。
「おとう、さっ……おと、さ……っ!」
「……なつ」
僕は、
(あぁ、良かった)
愛された、?
それからお父さんが亡くなったのは、1週間後のこと。
前へ top 次へ